2010年08月13日
母への讃歌
一冊の本を紹介します。


「母への讃歌」
オランダ人 ヘンリエッテ・ファン・ラールテ・ヘール(著)
タンゲナ鈴木由香里(訳)
出版 いのちのことば社
ヘンリエッテ幼少の頃インドネシア在住のオランダ人が
戦中、日本軍抑留所に収容され、確実に飢餓の状態に
進行してゆく中で、収容所において彼女の母が
どのようにして命を守り続けて来たか、そしてその時の
記憶と,資料で綴られています。
戦争はどちらにとっても悲劇しか生みません。
大きな流れの戦争の歴史の隙間にこのような小さな歴史が
あったことを知る事が出来ました。
私がヨーロッパに住んでいた頃はオランダ人との交流は
ごく少なかった為に、とても友好的に接してくれた事しか記憶がなく、
それ以外の事は聞きづてのことしかわかりません。
友人のからは、ちょっと非友好的な言葉をかけられた事も聞きました。
しかし「無知の罪」は免れませんでした。いつか聞いた
「日本とオランダの関係は戦中インドネシアにおいては良好だった」
という、インフォメーションが私の心に存在してしまっていたから。
訳のタンゲナ・鈴木由香里さん。遠縁の親戚にあたり
私がケルンメッセを訪れた折り、ケルンから列車を乗り継いで
エイントホーフェン近くの由香里さんの自宅を訪問しました。
クリスチャンである由香里さんは、長年教会のボランティアの
仕事を熱心に務め、その国やコミュニティーに貢献して来ました。
そして心を許し合ったヘンリエッテの著書の日本語訳をしました。
この時期だからこそ、この本を皆さんに紹介したいと思いました。
戦争は理屈無しに多くの犠牲を伴います。
そうした犠牲の上に今の私達の生活がある事を忘れてはいけないと
思いましたし、知られていない小さな歴史物語をも胸に受け止めて
行かなければならないと思いました。
以下に書評を掲載させていただきます
GOSPEL INFORMATION ブックレビュー
日本軍政下を生きた、母と娘の真実
木村公一(福岡国際キリスト教会牧師)
前部分略・・・・
・・・飢餓と病気が支配する状況のもとで多くの収容者が死んでいった。
絶望的な日々の中 で、なおも生き抜くことを教えてくれたのは、賢くも
勇敢な母親であった。抑留所長タナカによって課せられた懲罰や恐怖
に対しても、母は希望と信仰と愛に よって向き合った。ヘンリエッテは、
オランダ人の苦難だけでなく、インドネシア人の苦難にも触れている。
さらに、日本への訪問を通して、戦争に翻弄された 日本の民衆の苦し
みにも共感する。だがこの本を読む現代の日本人は、過去の歴史と向
き合い、オランダ人抑留者たちに加えられた暴力を記憶することによっ
て、《戦後責任》を自覚することになる。この書は二十一世紀を生きる
成熟した日本人を造り上げる最良の教科書の一冊となるであろう。
最後に、素晴らしい訳 文に仕上げてくださった訳者の
タンゲナ鈴木由香里さんに感謝を申し上げたい。


「母への讃歌」
オランダ人 ヘンリエッテ・ファン・ラールテ・ヘール(著)
タンゲナ鈴木由香里(訳)
出版 いのちのことば社
ヘンリエッテ幼少の頃インドネシア在住のオランダ人が
戦中、日本軍抑留所に収容され、確実に飢餓の状態に
進行してゆく中で、収容所において彼女の母が
どのようにして命を守り続けて来たか、そしてその時の
記憶と,資料で綴られています。
戦争はどちらにとっても悲劇しか生みません。
大きな流れの戦争の歴史の隙間にこのような小さな歴史が
あったことを知る事が出来ました。
私がヨーロッパに住んでいた頃はオランダ人との交流は
ごく少なかった為に、とても友好的に接してくれた事しか記憶がなく、
それ以外の事は聞きづてのことしかわかりません。
友人のからは、ちょっと非友好的な言葉をかけられた事も聞きました。
しかし「無知の罪」は免れませんでした。いつか聞いた
「日本とオランダの関係は戦中インドネシアにおいては良好だった」
という、インフォメーションが私の心に存在してしまっていたから。
訳のタンゲナ・鈴木由香里さん。遠縁の親戚にあたり
私がケルンメッセを訪れた折り、ケルンから列車を乗り継いで
エイントホーフェン近くの由香里さんの自宅を訪問しました。
クリスチャンである由香里さんは、長年教会のボランティアの
仕事を熱心に務め、その国やコミュニティーに貢献して来ました。
そして心を許し合ったヘンリエッテの著書の日本語訳をしました。
この時期だからこそ、この本を皆さんに紹介したいと思いました。
戦争は理屈無しに多くの犠牲を伴います。
そうした犠牲の上に今の私達の生活がある事を忘れてはいけないと
思いましたし、知られていない小さな歴史物語をも胸に受け止めて
行かなければならないと思いました。
以下に書評を掲載させていただきます
GOSPEL INFORMATION ブックレビュー
日本軍政下を生きた、母と娘の真実
木村公一(福岡国際キリスト教会牧師)
前部分略・・・・
・・・飢餓と病気が支配する状況のもとで多くの収容者が死んでいった。
絶望的な日々の中 で、なおも生き抜くことを教えてくれたのは、賢くも
勇敢な母親であった。抑留所長タナカによって課せられた懲罰や恐怖
に対しても、母は希望と信仰と愛に よって向き合った。ヘンリエッテは、
オランダ人の苦難だけでなく、インドネシア人の苦難にも触れている。
さらに、日本への訪問を通して、戦争に翻弄された 日本の民衆の苦し
みにも共感する。だがこの本を読む現代の日本人は、過去の歴史と向
き合い、オランダ人抑留者たちに加えられた暴力を記憶することによっ
て、《戦後責任》を自覚することになる。この書は二十一世紀を生きる
成熟した日本人を造り上げる最良の教科書の一冊となるであろう。
最後に、素晴らしい訳 文に仕上げてくださった訳者の
タンゲナ鈴木由香里さんに感謝を申し上げたい。